バイナリーオプションの分析では、トレーダーによって様々なインジゲーターを用いた取引をしています。
相場分析のインジゲーターでメジャーなツールが、本記事で紹介する移動平均線です。
移動平均線の概要やバイナリーオプションでの使い方を詳しく解説していきます。
移動平均線とは
移動平均線とは、一定水準の価格から平均値を計算して相場の流れや方向性を線で表示したものです。
上の画像は、実際に移動平均線をチャート上に表示したものです。
ローソク足の流れに沿って赤い線が表示されているのが分かります。
移動平均線では全て期間を表示しますが、これらの期間はローソク足の本数を指します。
例えば期間5で1分足表示をした場合は、5本分(5分間)の期間で平均値が算出される仕組みです。
そんな移動平均線は、主に以下4種類に分かれています。
・単純移動平均線(SMA)
・加重移動平均線(WMA)
・修正移動平均線(MMA)
・指数平滑移動平均線(EMA)
バイナリーオプションで移動平均線を駆使したい方は、まず4つの違いについて良く把握しておきましょう。
単純移動平均線(SMA)
単純移動平均線(SMA)は、指定した期間の終値平均を算出したものです。
メリット | デメリット |
---|---|
価格に比重を置かない計算方法のため、大まかなトレンドの流れが把握しやすい | 価格変動に対して線の動きが遅延しがち。細かな値動きに反応しにくい。 |
大まかなトレンドを分析する長期投資や、相場の方向性を見るのに有効な移動平均線となります。
移動平均線の中では価格変動に鈍く反応するという特徴があり、バイナリーオプションではなくFXなどの取引で使用される傾向です。
MT4/MT5では、Simpleと表示されます。
指数移動平均線(EMA)
指数移動平均線(EMA)は、直近1日分の価格に比重を置いた線です。
過去4日分は修正移動平均の値を含めて平均化する。最後の直近1日に比重を置いて計算されるため、SMAやMMAに比べて反応が良い。
メリット | デメリット |
---|---|
SMAよりも価格変動に敏感なため、短期的な動きに有効。 | 価格変動に対する反応が良いため、相場のだましが多い |
値動きに敏感な反応を見せることから、SMAに比べて短期的な価格動向を分析するバイナリーオプションで使う方が多い傾向です。
その分だましも増えるので注意しなくてはいけませんが、バイナリーオプションにおける環境認識をする際に有効なツールと言えるでしょう。
MT4/MT5では、Exponentialと表示されます。
修正移動平均線(MMA)
EMAは直近1日の価格に比重を置いた線ですが、修正移動平均線(MMA)は期間中の修正移動値を平均化しただけの線です。
計算方法はEMAとほぼ変わりないので、メリットやデメリットもEMAと同様となります。
同じチャートに同じ期間で表示してみると、直近の価格に比重を置いているEMAの方が若干ではありますが敏感な動きを示していることが分かります。
特別拘りがなく「値動きに対して敏感に反応する移動平均線を使いたい」という方であれば、MMAではなくEMAを使うと良いでしょう。
MT4/MT5では、Smoothedと表示されます。
加重移動平均線(WMA)
加重移動平均線(WMA)は、直近の価格を平均化した移動平均線です。
メリット | デメリット |
---|---|
直近の価格にだけ比重を置いているので、値動きに対して極端に敏感な反応を見せる。 | 直近の価格が平均化されているので、トレンドの転換点などでは反応が鈍く遅れて反応する。 |
EMAやMMAに比べて、直近の値動きに対して敏感に反応する点が特徴です。
しかし、トレンドの転換点や反発ポイントなどでは、EMAよりも鈍く反応してしまうため、反発を繰り返すレンジ相場などではあまり有効ではありません。
短期的な目線では極端にだましが増えることから、バイナリーオプションの分析で使用する方は少ない傾向にあります。
MT4/MT5では、Linear Weightedと表示されます。
移動平均線の設定・表示方法
多くの海外バイナリー業者では、取引ツールにインジゲーターが挿入できない仕様となっています。
そのため、別途MT4やMT5といった分析ツールを用いて取引しなくてはいけません。
バイナリーオプションのためのMT4おすすめ業社を別ページで解説しておるぞ。
インストールがまだなら読んでみてほしい。
バイナリーオプション用の取引ツールとして最も使用されているMT4での移動平均線表示方法を見ていきましょう。(※MT5も同手順で表示可能です。)
インジゲーターの挿入項目から移動平均線を選択する
まずは、MT4を起動して画面上部にある「挿入」をクリックします。
次に、画面右に表示される「インディケータ」→「Moving Average」の順にクリックしましょう。
移動平均線の設定
Moving Averageを選択すると、画面中央に上のような画面が表示されます。
①期間 | 移動平均線の期間を入力 |
②移動平均線の種別 | Simple、Exponential、Smoothed、Linear Weightedから選択 |
③適用価格 | Close(終値)のままで良い |
④スタイル | 色や移動平均線の太さを選択 |
上記項目を入力or選択して、最後に下の「OK」をクリックしましょう。
すると、画面上に移動平均線が表示されます。
表示された移動平均線をダブルクリックすると設定の変更も可能です。
複数表示させる場合も同じ要領で表示できるので、ぜひ参考にして移動平均線を挿入してみましょう。
移動平均線を使ったバイナリーオプション相場認識攻略法
次に、移動平均線を使ったバイナリーオプション攻略方法を紹介していきます。
ここで紹介する攻略方法は、相場の環境認識として移動平均線を活用する方法です。
移動平均線だけで攻略をするのではなく、相場の目線を把握したうえで他の根拠を付け加えたエントリーする方法を紹介します。
ゴールデンクロスとデッドクロス
まず紹介するのは、移動平均線のパターンであるゴールデンクロスとデッドクロスを使った環境認識方法です。
ここでは短期線を期間5、中期線を期間75で設定して解説していきます。
画面左がデッドクロス、画面右がゴールデンクロスを指します。
この時の相場は以下のような方向性であると言えます。
ゴールデンクロスの相場 | デッドクロスの相場 |
---|---|
上昇目線の相場になるため、Highエントリーが強い | 下落目線の相場になるため、Lowエントリーが強い |
上記のような相場の目線を踏まえて、RSIやストキャスティクスのような逆張りインジゲーターを用いて分析をします。
5分足などで表示させて、次足5分後判定などを狙うと良いでしょう。
相場の目線に逆らわないポイントを狙うことで勝率のアップが見込めます。
トレンドの転換点などでは負けてしまうので、その際は追わないように注意しましょう。
GMMA
次に紹介するのは、GMMAを使った環境認識の方法です。
上画像は、短期線を青、長期線を赤の束で表示させたGMMAです。
トレンド方向に沿って強い伸びを見せる特徴があり、短期売買のバイナリーオプションでは以下のような使い方が有効となります。
- GMMAを上位足で表示させる
- 相場の方向性を確認する
- 短期足に戻して相場の方向性を絞ったエントリーをする
例えば、普段1分足で分析する人であれば、1時間などの上位足で表示してみると良いでしょう。
上位足で表示させて、GMMAの短期線と長期線が平行になりながら下落をしていたとします。
上記のような相場状況は短期足であったとしても、下落が強いのでLowエントリーに絞って狙うと良いでしょう。(上昇時はHigh)
明確なエントリー根拠ではありませんが、定期的にGMMAで上位足の目線をチェックしておくと、エントリー方向を絞った効率の良い取引に繋がるでしょう。
移動平均線を使ったバイナリーオプショントレンド攻略法
次に紹介する方法は、トレンド過程で移動平均線を表示した場合の攻略法です。
トレンド相場は常に同じ方向に向かうわけではなく、上昇下落の波を付けてトレンドを形成する傾向にあります。
上昇過程では押し目買い、下落過程では戻り売りとも言われますが、短期的な反発を狙う際に移動平均線が有効です。
まずは、ローソク足を1分足で表示して、移動平均線(期間15あたり)を挿入しましょう。
表示後、相場でトレンドが出ていないかを確認します。
上チャートは、移動平均線とローソク足が上昇方向に向かっている相場です。
上昇過程で一時的な下落をした後にすぐ反発をしていることが分かります。
上記のようなポイントでHighエントリーを狙っていくと、押し目買いで短期的な反発が見込めるのでバイナリーオプションにおいて有効です。
下落局面でも同様に、移動平均線を抜けてきた箇所でローエントリーが有効となります。
- トレンドの方向に逆らわないエントリー
- 移動平均線にタッチしたポイントではなく、しっかりと上下に抜けた箇所を狙う
- トレンドはいつか転換するので、1度負けても追わない
- 極端に強いトレンドではなく、比較的緩やかに上昇・下落しているトレンドを狙う
1分や5分足などで見る短期的なトレンドでは特に有効です。
移動平均線の期間を短くするとチャンスは増えますが、その分だましも増えてしまいます。相場状況や取引スタイルに合わせて自身に合った期間を選択しましょう。
バイナリーオプションで移動平均線を使う際の注意点
最後に、バイナリーオプションで移動平均線を使う際の注意点を解説していきます。
移動平均線はFXでは高い人気を誇るインジゲーターですが、バイナリーオプションでは極端に人気なツールというわけではありません。
理由も含めて見ていきましょう。
ローソク足が隠れてしまう
バイナリーオプションの取引では、ローソク足の形が重要と考える方が多いです。
ローソク足のサイズやヒゲの長さは、投資家心理や相場状況、チャートパターンを反映させるため、インジゲーター以上に有効なツールと言われています。
しかし、移動平均線を表示させると、ローソク足が隠れてしまう恐れがあるので注意しましょう。
GMMAのように複数の移動平均線を表示させると、ローソク足が完全に隠れてしまいます。移動平均線用のチャートとローソク足が良く見えるチャートは別で用意しておくと良いです。
レンジ相場での使い道が少ない
移動平均線は、分析ツールの中でもトレンド系のインジゲーターに分類されています。
バイナリーオプションではレンジ相場での天底を狙った逆張りが有効とされていますが、移動平均線はレンジ相場での使い道が少ないです。
レンジ相場では、移動平均線のラインが横ばいになるだけで、特に変動があるわけではありません。
あくまでもトレンド相場で使うのが主流のツールなので、レンジ相場では他の根拠を用いて取引するようにしましょう。
明確なエントリー根拠になりにくい
移動平均線は、明確なエントリー根拠になりにくいというデメリットもあります。
攻略法②で紹介した方法は、移動平均線で見た押し目買い・戻り売りがエントリーのポイントになっていますが、基本的には相場の環境認識として使うのが一般的です。
相場のトレンド方向やトレンドの強弱といった状況判断を助けてくれるツールとして使用するようにしましょう。
また、移動平均線だけを使って取引をしても、充分に高い勝率は見込めません。
相場状況や取引スタイルに合わせて、別のエントリー根拠を付け加えたうえで取引をしていきましょう。
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